名古屋地方裁判所 平成11年(ワ)1697号 判決
原告
○○株式会社
右代表者代表取締役
東田次郎
右訴訟代理人弁護士
水口敞
同
中村弘
同
中村伸子
被告
甲野太郎
同
乙川一郎
右両名訴訟代理人弁護士
中田健一
右訴訟復代理人弁護士
寺部光敏
主文
一 被告らは、原告に対し、連帯して金一五八万七一五〇円及びこれに対する平成八年九月六日から支払済みまで年一五パーセント(年三六五日の日割り計算)の割合による金員を支払え。
二 原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用はこれを五分し、その二を原告の、その余を被告らの負担とする。
四 この判決第一項は仮に執行することができる。
事実及び理由
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告らは原告に対し、連帯して二四八万七三〇〇円及びこれに対する平成八年九月六日から支払済みまで年一五パーセント(年三六五日の日割計算)の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告らの負担とする。
3 仮執行宣言
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告は電気製品等の割賦販売、リース等を業とする会社であり、被告らは花卉の販売等を業とする者である。
2 原告は、被告甲野太郎との間で、平成六年一一月一八日、次のとおりリース契約を締結した(甲一号証、以下「本件リース契約」という。)。
(一) リース物件 フラワーコールストッカー(生花を貯蔵する大きな保冷庫、以下「本件ストッカー」という。)
(二) リース料 平成六年一一月から同一二年一〇月まで毎月五日限り(但し、初回は同六年一一月一八日)、各九万〇七四三円ずつ、合計六五三万三四九六円
(三) 期限の利益喪失 被告甲野がリース料の支払いを一回でも遅滞したときは、残リース料全額につき当然に期限の利益を喪失する。
(四) 遅延損害金 年一五パーセント(年三六五日の日割計算、以下同じ)
3 被告乙川一郎は、平成六年一一月一八日、被告甲野の原告に対する本件リース契約上の債務を連帯保証した(甲一号証)。
4 被告甲野は、平成八年九月五日に支払うべきリース料の支払いをしなかったので、同日の経過により残リース料四五三万七一五〇円全額について期限の利益を喪失した。
その後、原告のA'営業所長(以下「A所長」という。)が、本件ストッカーを、岐阜県大垣市の△△壜工業株式会社(以下「△△」という。)に売却した。
右売却の結果、売却代金から修理費用等を控除した二〇四万九八五〇円につき一部回収されたので、残元本は二四八万七三〇〇円となった。
5 よって、原告は、被告甲野に対しリース契約に基づき、被告乙川に対し連帯保証契約に基づき、連帯して右二四八万七三〇〇円及びこれに対する期限の利益喪失後である平成八年九月六日から支払済みまで約定の年一五パーセントの割合による遅延損害金の支払いを求める。
二 請求原因に対する認否
請求原因1、2、3は認め、同4は否認する。
三 抗弁
1 合意解除
(一) 被告甲野は、平成八年七月ころ、被告らの元上司で、有限会社□□の代表者であるB'(以下「B」という。)を交渉担当者として、原告の当時の豊橋営業所長のC'(以下「C前所長」という。)との間で、次のとおり、本件リース契約を合意解除した。
(1) 本件ストッカーを和歌山市の株式会社××(以下「××」という。)に運送し、原告が××に本件ストッカーをリースあるいは売却する。
(2) 本件ストッカーの解体費用及び××への運送費用は、被告ら共同事業者が負担する。
(3) 原告は、被告らに残リース料その他の負担が残らないように本件ストッカーを処分する。
(二) 被告ら共同事業者は、平成八年七月ころまでに、前記各費用を負担して、本件ストッカーを××まで運送し、引き渡した。
2 権利濫用、信義則違反
(一) 仮に、右1の合意解除が認められないとしても、本件リース料は本件ストッカー使用の対価であるから、原告は、被告らに対し、リース物件を使用させるべき信義則上の義務を負担している。また、原告は、リース契約における貸主として、信義則上、契約当事者間における相手方に発生する蓋然性の高い損害を回避するため配慮すべき付随義務を負担している。
しかるに、次のとおりの事情があるから、原告の本件リース料の請求は、信義則に反し、権利の濫用として認められない。また、少なくとも、原告が、後記減価分ないし修理代を被告らに負担させることは信義則に反する。
(二) 原告は、遅くとも、平成八年八月ころまでに、被告甲野が、本件リース契約を終了させ、××に本件リース契約に基づく借主の地位を承継させる目的で、本件ストッカーを××に移送したことを知った。
そして、原告は、××に、平成八年七月から同九年九月まで、本件ストッカーを使用させておきながら、①××に本件ストッカーを売却できないことを当時、被告らに告知せず、②被告らが本件ストッカーを使用できない状態にしておいて、本件ストッカーを△△に売却し、同年九月から同社に使用させて、被告らから使用する機会を奪った。
(三) 原告は、本件ストッカーの右売却処分について、被告らに意見を聞いたり、説明をすることなく専断した。
原告は、被告甲野が、本件リース契約に基づく借主の地位を××に承継させる目的で、本件ストッカーを××に移送したことを知っていたのだから、××と本件リース契約の承継ないし本件リース物件の売買ができなかったことを、信義則上、直ちに被告甲野へ報告し、被告らが不利益を免れる機会を与えるべき義務があったのに、右義務を怠ったため、被告甲野が事態に即応して処理する機会を失わせた。特に、原告が残リース料の請求を予定している場合は、信義則上、あらかじめ被告らに連絡して最終的に負担するべきリース料を少なくする機会を与えるため売却処分に関する情報を知らせるべきであったのに、右義務を怠った。
また、原告は、それまで屋内に設置されていた本件ストッカーが野ざらしのまま放置されていることを知りながら、何ら保全措置をとらなかったため、本件ストッカーの価値を著しく減少させ、修理代を増額させた。
(四) 一方、被告らは、①平成八年九月分以降のリース料の請求を受けなかったこと、②本件ストッカーが××に存し、被告らは使用できなかったこと、③原告から、××との交渉の顛末について、何の報告説明もなかったことなどから、本件リース契約は合意解除により終了したものと信じていた。
3 過失相殺
仮に右1、2が認められないとしても、右2で述べた事情によると、被告らの債務不履行には原告にも過失があったと認められるから、公平の理念に則り、民法四一八条を類推適用して原告の請求額を過失相殺するべきである。
四 抗弁に対する認否、及び原告の反論
1 抗弁はいずれも否認する。本件リース契約はファイナンスリースであるから、リース料は物件使用の対価ではない。
2 被告らは、本件リース契約上、リース物件を原告に無断で他に移動しないようにする義務を負担しているが、右義務に違反して、原告に無断で、本件ストッカーを××に移動させた。このように本件リース契約上の基本的な義務に違反している被告らに対し、原告が、××からリース物件の占有回復又はそれに代わる処理をするに際し、その顛末を報告する義務はなく、報告しなかったことが信義則違反にならない。
第三 証拠関係は、本件訴訟記録中の証拠関係目録に記載のとおりである。
第四 当裁判所の判断
一 請求原因1、2、3の事実は当事者間に争いがない。
右争いがない事実と、甲一ないし一一号証(七号証の枝番を含む。)、丙二、三号証、証人B'、同C'(一部)、同A'の各証言、被告甲野本人尋問の結果、並びに弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。
1 被告らは、平成元年から、生花業を営む有限会社□□のもとで働いていたが、六人で独立して生花の共同仕入事業を行うことを計画し、平成六年一一月一八日、被告甲野が、原告と、担当者を原告豊橋営業所のC前所長として、本件リース契約を締結した(甲一号証)。
被告ら六人は、本件ストッカーの保冷庫を六つに間仕切りして使用していたが、平成七年ころ、生花の共同仕入事業を解消することにしたので、本件ストッカーが不要になった。そのため、被告甲野は、元上司で、有限会社□□の代表者であるBに善後策を相談した。
Bは、被告甲野の右依頼を受けて、平成八年二月ころから、和歌山市の××が本件ストッカーを引きとる交渉を行い、同年六月ころ、原告の担当者であるC前所長の了解を得たので、被告甲野の依頼を受けて、同年七月、本件ストッカーを、リース契約書のひな形を添付して、××に運送した。
2 原告のC前所長は、平成八年七月ころ以降、××のD社長と本件ストッカーのリース契約の承継について交渉したが、本件リース契約を承継することについて、××との間で交渉がまとまらなかった。しかし、C前所長は、××との右交渉決裂の結果を、被告らに知らせることなく、被告らに対し、同年九月分以降のリース料を請求することもなかった。
3 被告らは、原告に対し、本件リース契約に基づくリース料を平成八年七月分まで支払っていたが、その後、C前所長から、××が八月分まで支払って欲しいと言っていると告げられ、右支払いによって、今後のリース料は全て××が引き継ぎ、被告らが負担することは無くなると考えて、同年九月二四日に八月分のリース料を支払った(甲二号証)。
被告らは、原告から同年九月分以降の本件リース契約に基づくリース料の請求を受けなかったので、原告とのリース契約は、××が引き継ぐことにより、被告らが残リース料を支払わないことで解約されたと考えて、同月分以降のリース料を支払わなかった。その結果、本件リース契約に基づく残リース料は、四五三万七一五〇円になった。
4 平成九年四月から、原告の豊橋営業所長をC前所長から引き継いだA所長は、本件ストッカーが和歌山市の××に移動されていることを知り、同年五月、本件ストッカーを使用している××から、二〇〇万円なら買い受けるとの連絡を受けた。しかし、残リース料を被告らが支払う話しが進まなかったため、A所長は、Bの紹介を受けて、同年九月、本件ストッカーを大垣市の△△に二九五万円で売却した(甲二ないし五号証)。しかし、原告の担当者が、被告らに対し、右売却の経緯について一切説明することはなく、また、残リース料を請求することもなかった。
5 原告は、平成一一年一月二一日、本件ストッカーを△△に売却した代金から修理代等九〇万〇一五〇円を差し引いた二〇四万九八五〇円について、リース料の先入金処理として充当し、被告らに対し、本訴提起に至るまで残リース料の請求を行わなかった。
原告は、同年五月一〇日、被告らに対し本訴を提起して、右充当の結果、残リース料が二四八万七三〇〇円になったとして、右残リース料を請求し、同年七月一六日の本件第二回口頭弁論期日に、被告らに対し、本件リース契約を解除する旨の意思表示を行った。
二 右事実によると、請求原因4のとおり、被告らは、平成八年九月五日に支払うべき同月分のリース料を支払わなかったので、本件リース契約の期限の利益喪失特約に基づき、同日の経過により残リース料四五三万七一五〇円全額につき期限の利益を喪失したが、その後、原告が本件ストッカーの売却代金の内金二〇四万九八五〇円をリース代金に充当したので、残元本は二四八万七三〇〇円となったと認められる。
三 抗弁1について
前記一の事実によると、被告らは、Bを代理人として、原告のC前所長の承諾を得て××と本件リース契約の承継について話合い、本件ストッカーを××に移動させたが、結局、原告と××の間で本件リース契約の承継について合意は成立しなかったと認められる。また、原告が平成八年九月分以降のリース料につき、当時、被告らに対し、支払い義務を免除した事実は認められない。証人Bは、原告のC前所長と平成八年当時、本件リース契約の合意解約につき話し合ったと証言するが、Bは、C前所長と電話で交渉したのみで、直接、C前所長との間で、被告らが本件リース契約の債務を免れて、××へ債務引受する合意が成立した事実は認められないから、右認定は左右されない。
したがって、被告らから××へ本件リース契約が承継されて、原告と被告ら間の本件リース契約が合意解除された事実は認められないから、抗弁1は理由がない。
四 抗弁2について
1 被告らは、本件リース契約が合意解除されていないとしても、原告のリース料請求は、信義則に反し、権利濫用として許されない旨主張する。
よって検討するに、甲一ないし一一号証、丙二、三号証、証人B'、同C'(一部)、同A'の各証言、被告甲野本人尋問の結果、並びに弁論の全趣旨によると、次の事実が認められる。
(一) 原告は、平成八年六月二〇日ころに××に本件ストッカーが運送されたことを知っていた。また、原告は、それまで屋内に設置されていた本件ストッカーが野ざらしのまま放置されていることを知っていたが、保全の措置をとらなかった結果、本件ストッカーの価値を減少させ、△△に売却するに当たり、修理費用等として九〇万〇一五〇円を要した。
(二) 被告らは、本件ストッカーを××に運送したため使用することができず、原告から、平成八年九月分以降のリース料の請求を受けず、また、××との交渉の顛末について何らの報告説明を受けなかった。一方、原告は、同九年九月、被告らに説明することなく、本件ストッカーを△△に売却し、被告らに、売却代金や修理費用等の説明をしなかった。
(三) 原告は、本件ストッカーを△△に二九五万円で売却したが、修理費用九〇万〇一五〇円は被告らが負担すべきであるとして、右売却金から右修理費用を差引いた残金二〇四万九八五〇円のみを、残リース料四五三万七一五〇円に充当した二四八万七三〇〇円を残元金として、本訴で被告らに対し請求している。
2 右事実によると、原告は、平成八年七月以降、××に本件ストッカーを使用させることを了解し、被告らが本件ストッカーを使用する機会を奪って、その後、二年間以上、残リース料の請求をしなかったが、本訴提起により、被告らに対し右リース料の請求を行っている。
しかし、被告らも、本件ストッカーを××に送ったのみで、その後、実際に原告と××の間の交渉がどのようになったか、或いは、原告と被告甲野との本件リース契約が合意解除されたかについて原告に問い合せることがなかった。また、被告らは、××に本件ストッカーを送って自ら使用収益ができなかった平成八年八月分のリース料を原告に支払っている。
そうすると、たとえ、原告に本件リース契約に基づき、被告らに本件ストッカーを引き渡し使用収益させる義務があるとしても、本件ストッカーを使用収益できなかったことについて、被告らにも過失があったと認められるから、被告らが、本件リース料の支払いを全て免れるとすることはできない。
3 ところで、原告は、被告らに本件リース物件を使用させることなく、それまで被告らのもとでは屋内に設置されていた本件ストッカーが、××では野ざらしのまま放置されていることを知りながら、保全の措置をとらなかったため、本件ストッカーの価値を著しく減少させ、修理代を増額させたものである。
原告としては、××との交渉が失敗に終わった段階で、××に本件ストッカーを放置しておく理由も存しないから、右交渉終了後、××から本件ストッカーを引き上げるなどの保全措置をとり得た筈である。原告と被告甲野間で、未だ本件リース契約が続いていたとしても、本件ストッカーは原告の所有であり、また、結局、原告が××から本件ストッカーを引き上げ、修理をして、△△に売却しているのであるから、原告は、もっと早い段階で同様の措置をとり得た筈である。
4(一) これに対し、原告は、本件リース契約は、いわゆるファイナンスリース契約であるから、リース会社である原告に、被告らに対する本件リース物件を引渡し、使用収益させる義務がないと主張する。
しかし、ファイナンスリース契約の経済的実質は、ユーザーに対するリース物件の購入代金の融資にあり、リース物件の使用収益とリース料の支払いとは完全な意味での対価関係に立つものではないと解されるが、リース会社である原告がサプライヤー(売主)に対して売買代金を一括して支払うことによって、ユーザーである被告らが金融上の利益を受けるといえるためには、ユーザーがリース物件を使用収益しうることが当然の前提となっていると解される。本件でも、ユーザーである被告らは、本件リース物件の占有を取得してこれを使用する目的で本件リース契約を締結しているし、本件リース契約の約款(甲一号証)を見ても、原告が本件リース物件を被告らに貸与する(一条)とか、リース期間の満了又は契約が解除された場合は直ちにリース物件を原告の指定場所に返還する(一八条)など、本件リース契約が賃貸借であることを前提とする条項が存している。そうすると、本件リース契約において、リース会社である原告に、被告らに対し、リース物件を引渡し、使用収益させる義務がないと解することはできない。
(二) 原告は、被告らが、本件リース契約上、リース物件を原告に無断で他に移動しないようにする義務を負担しているのに、右義務に違反して、原告に無断で、本件ストッカーを××に移動させたのであり、このように本件リース契約上の基本的な義務に違反している被告らに対し、原告が、××からリース物件の占有回復又はそれに代わる処理をするに際し、その顛末を報告する義務はないと主張する。
しかし、前示のとおり、原告のC前所長は、本件ストッカーを××に移動することを承諾していたのであるから、被告らは、本件リース契約上の基本的な義務に違反していない。そうすると、原告は、××からリース物件の占有回復又はそれに代わる処理をするに際し、その顛末を被告らに報告する義務を有しているが、被告らに対し報告をせず、また、残リース料を請求することもなかった。したがって、原告の右主張は採用できない。
(三) 原告豊橋営業所のC前所長は、当法廷及び甲九号証で、Bから本件ストッカーを××に送ることについて連絡を受けていない、被告甲野の話で、初めてBが本件機械の引き渡しに介入していることを知ったが、話をしたこともない、本件リース契約の強制解約の通知をし、被告らに対し残リース料を一括請求した旨証言する。
しかし、前示のとおり、被告甲野は、平成八年九月分以降のリース料の請求を当時、原告から受けていないのであって、証人Cの右証言部分は、証人Bの証言、被告甲野本人尋問の結果と対比して、採用できない。
(四) なお、前記認定の経過によると、被告らも、平成八年九月当時、原告に対し、××との交渉経緯を尋ねるべきであったとも考えられる。
しかし、××との交渉を実際に担当したのは原告の担当者であったから、原告は、リース物件が××にあることを了解していたし、しかも、それまで屋内に設置されていた本件ストッカーが野ざらしのまま放置されていることを知っていたのであるから、そのまま野ざらしで放置される状態が続けば、本件ストッカーの価値が減少することを当然に予測できた筈である。
そうすると、原告は、未だ××と交渉中であり、リース契約締結に至っていない状態であったとしても、××に対して、本件ストッカーの価値が減少しないよう何らかの処置をとるように依頼するか、自らその措置を行うべきであった。これに対し、被告らは、××と直接交渉を行ったわけでなく、本件ストッカーがどのような状態にあるのか知り得なかったのであるから、被告らに対し、本件ストッカーの価値が減少しないように保全措置を行うように期待するのは酷である。
5 以上によると、原告は、本件ストッカーを△△に売却した代金を本件残リース料から清算すべきであるが、右清算に当たり、本件ストッカーの価値を著しく減少させ修理代を増額させたのは原告の責に帰すべき事由であるから、右減価ないし修理費用は原告が負担するのが信義則上相当であり、原告が、右修理費用等につき被告らに負担を求めるのは権利の濫用として認められない。
したがって、原告が、被告らに請求できる残リース料に充当すべき金額は、△△への売却代金から修理費用九〇万〇一五〇円を差引いた二〇四万九八五〇円ではなく、右売却代金二九五万円全額とすべきである。
そうすると、抗弁2は、本件ストッカーの修理代金九〇万〇一五〇円を原告に負担させる限度で理由があり、原告が被告らに請求できるリース料は、前記残リース料四五三万七一五〇円から、右売却代金二九五万円を差し引いた一五八万七一五〇円及びこれに対する期限の利益喪失後である平成八年九月六日から支払済みまで約定の年一五パーセントの割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由がある。
右の次第であるから、抗弁3については判断する必要がない。
五 よって、原告の本訴請求は、主文第一項の限度で理由があるから認容し、その余は理由がないから棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法六一条、六四条、六五条を、仮執行の宣言につき同法二五九条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官・水谷正俊)